八ヶ村用水のことは前から知っていましたが、取水口の探検調査は背丈ほどもある雑木、
雑草にはばまれ、なかなか踏み込めない場所にありました。
ところが最近除草車が入ってくれて、絶好のチャンスとなりました。
ここが堤防道路から樋門を見たところです。用水路が右にカーブしているのが見えます。

樋門の脇の階段を下りて用水路側から撮影。堤防の下を抜けている様子がわかります。

この樋門に貼りつけられた銘板には「八ヶ村用水樋管」と書かれています。
1979年の施工で、いまさら八ヶ村の時代でもあるまいなのですが、時代は移り変わっても
固有名詞として生きていたのですね。

用水路はカーブのところで枝分かれし、下流にも向かっていました。
これはまた記事を改めてご紹介するとして、本日は上流に向かって歩きます。

下の地図で矢印のところが堤防の樋管で、これから取水口の赤マルのところまで歩きます。

用水路は上流に向かってまもなく白沢川の流れにつきあたります。
用水路に覆いかぶさる金網もそこで途切れています。実は用水路は白沢川の下をトンネルで
通っているのです。これを伏越と言います。

除草車が通った跡はとても心地よい道になっています。足を進めるたびにバッタが飛び散り、
ハグロトンボやコミスジが目の前を右に左に行き交います。

木々の間から愛知霊園が見えました。
そして見えませんが、実際にはこのブッシュの中を用水路が流れています。

除草車はここでUターンしたようです。
そしてここが私の目的地でもあります。

暑い中でしたが、バッタやチョウ、トンボと戯れながら、いつしか龍泉寺さんの近くまで
来ていました。Googleの地図でも用水路の青い線はここまでになっています。

ここから少し雑草をかきわけて庄内川に出ると堰堤があります。
子供たちが水遊びをしていました。深いところでも子供の背丈くらいのようです。
透明度もあって、ひところより随分きれいになっています。
子供たちは対岸に自転車が見えましたので、春日井の子たちのようです。
むかし、庄内川の水遊び場をめぐって、春日井の子と吉根の子が石合戦や取っ組み合いをした
風景が見えるようです。

ふと、右手の草むらに目をやると、取水ハンドルの付いた取水口が見えました。
堰堤で水をせき止めて、水かさを上げ、十分な水量を確保します。
そして用水路は庄内川よりも緩やかな勾配で流し、樋管のところでは堤防下を抜けるだけの
高さを確保できるように計算されています。
いまなら、お金に糸目をつけなければ、ポンプで水を汲みあげれば簡単なことですが、
そんな物のなかった時代ですから、こうした先人の知恵で用水を引いたのです。

Googleの上空からの写真です。
用水路はわかりにくいのですが、右下の樹林帯の中を影のように伸びています。
堰堤に見える扇形をした構造物は魚道、つまり川魚が川をさかのぼるための道です。

クズの花が咲き始めていました。屑ではなくて葛ですね。
くず餅の原料はほとんどが小麦粉ですが、葛餅と書くときにはこのクズを使っているのでしょう。

私の背丈よりも高く咲いていました。

セセリチョウとは言いえて妙な、せわしない蝶々です。

夏の日中なら危なくはありませんが、それでも子供だけでは行かない方がよいです。
大人の方も、バイクがダートコースと勘違いして走り回りますし、野良犬もいるかも知れません。
十分にご注意をお願いします。